走り始めて10分後に膝が痛くなる原因と改善法

はじめに

「最初は大丈夫なのに、10分くらい走ると膝が痛くなる」
そんな経験をしたことはありませんか?

実は、膝に痛みを感じる人の多くは“膝そのもの”に問題があるわけではありません。
体の動き方やバランスの崩れが、結果的に膝へ負担を集中させてしまっているケースが多いのです。

この記事では、走り始めてから痛くなる膝の原因と、その改善のポイントを紹介します。

よくある原因

「走ると痛い=膝が悪い」と思われがちですが、実際には膝は“被害者”であることが多いです。
その背景には、次のような体の使い方のクセがあります。

  • 股関節や足首の動きが硬い
     → 本来動くべき部分が動かず、膝が代わりに動きすぎてしまう。
  • 体幹が安定していない
     → 一歩ごとに体がブレて、膝が内側・外側に揺れる。
  • 地面からの衝撃を吸収できない
     → 筋肉がうまく働かず、骨や関節にダイレクトに負担がかかる。

つまり、膝の痛みは「膝を守ろうとしているサイン」なのです。

膝が痛くなるメカニズム

走るとき、膝には一歩ごとに体重の3〜5倍の力がかかるといわれています。
その負荷をうまく分散できていれば問題ありませんが、バランスが崩れると一部分に集中します。

たとえば、

  • 股関節が硬いと膝がねじれてしまう
  • 体幹が不安定だと片足に体重が偏る
  • 着地の姿勢がずれると、衝撃がそのまま膝へ伝わる

こうして「少しずつ痛みが出てくる」パターンが多いのです。
つまり、痛みの出る“10分後”は、身体のバランスが限界を迎えたタイミングともいえます。

改善のためのポイント

まずは“歩き方”を整える

走る前に、歩き方を見直すことが基本です。
まっすぐ立って重心がどこにあるかを確認し、かかと外側→足裏外側→小指付け根→親指付け根のラインでスムーズに体重を移動させましょう。

歩き方が整うことで、走るときの着地や体重移動も安定します。

さらに、歩き方を整えるために以下のポイントがあります。

① 股関節と足首をほぐす

歩き方や走り方を整えるのは、意外と難しいものです。
なぜなら、意識する箇所が多く、一つを意識すると他の動きが疎かになりやすいからです。

そのため、細かく意識する前に、まずは「全体的に滑らかに動ける状態」をつくることが大切です。
動きのなめらかさを邪魔している“硬さ”を取っておくことが、修正の鍵になります。

特に、股関節と足首は歩行や走行の動きの中心になる関節です。
ここをあらかじめほぐしておくだけで、全体の動きがスムーズになり、膝への負担も大きく減ります。

② 体幹を安定させる運動

歩くのも、走るのも、体幹が軸になります。

理想的な歩き方や走り方では、歩幅が自然に広がり、手が勝手に振れるようになります。
無理に腕を振ろうとせず、体幹(特に背骨)がしっかり安定していることで、手足が“振り子”のように動き出すのです。

イメージとしては、でんでん太鼓の持ち手が体幹にあたります。
持ち手(体幹)が安定しているほど、左右の手足(太鼓の部分)はスムーズに動くというわけです。

まとめ

「走ると10分で膝が痛くなる」のは、膝が悪いからではなく、体の動き方が崩れているサインです。

  • 股関節や足首が硬い
  • 体幹が不安定
  • 重心が偏っている

こうしたバランスを整えていくことで、膝への負担は確実に減ります。

膝の痛みは“結果”であって“原因”ではありません。
身体の使い方を見直すことで、10分で痛くなる膝も、30分気持ちよく走れる膝に変わっていきます。